し、仙台に私鉄が走っていたら――。この「仙南急行」は、そんな切り口から生まれた架空の鉄道です。あくまでも私の考え出したフィクションであり、創作物です。宮城県仙台市の長町~秋保(あきう)温泉を舞台としつつ、沿線に副都心や住宅地群、ニュータウン、温泉地を擁する中小私鉄というコンセプトで制作しています。

 

架空鉄道なるものを構想する上でその作者の意図する所はそれぞれですが、ここでは「一つの私鉄とそれに関わる諸々を、できる限りのリアリティに基づいて構築する」ことに主眼を置きたいと考えています。故にこれは私の夢を詰め込んだものでも、理想を突き詰めたものでもありません。結果として特徴的な設定となった所は少なからずあるにせよ、言うなれば「面白くもない」「平凡な」私鉄の姿を克明に組み立てることで、鉄道ファン諸兄であれば誰しも感じたことがあるであろうその普遍的な魅力をいま一度表現してみようという企てです(それが出来る確証はどこにもありませんが)。

 

仙台を舞台として選んだことについては、一つにはかつて私自身が実際に在住していたが為に幾らかの思い入れがあること、そしてそれにより周辺の地理について少々ながら知識があったことが理由として挙げられます。また制作にあたって、同地をかつて走っていた秋保電鉄はもとより、規模は違えど似通った性格や生い立ちをもつ兵庫県の能勢電鉄など、多くの実在する鉄道をモチーフとして取り入れました。もちろん考証の参考にというのもありますが、同時にささやかなオマージュを捧げたものであると捉えて頂ければ幸いです。